主宰俳句
春 田 打 田島 和生
蜆殻照つて近江の春田打
老僧へ閻魔へ初音惜しみなく
梅香る墓の武将に安芸の酒
のどけしやちよんと墨おく達磨の目
草道の靴のちらばる花菜風
春眠のうつらうつらと遠烏
藤棚の諸蔓(もろつる)はねて太芽かな
藪椿竹林を日のつらぬけり
同人作品評(3月号) 中村 雅樹
蓮根掘るポンプの水のしぶきけり 山岸 昭子 蓮田に腰まで浸かりながら、ホースから水を噴出し、その圧力で泥の中の蓮根を掘りだしている作業を見学したことがあります。蓮根を掘るのは、いまも昔も大変な労働です。この一句、ポンプの水が、泥とともに飛び散っている景と思いました。具体的に詠んでいるところが、よいと思いました。
大好評! 「雉」ネット俳句
★★★ 2月 ★★★
大前 貴之 選〈特選〉
春めくや図書館の椅子窓向きに 藤井 薫
三日月の輝く窓辺ヒヤシンス 盛一 紀子
春雪をもどり来て買ふチューリップ 盛一 紀子
〈入選〉
あたたかき光を映すしやぼんだま 顕子
どの家も雪のホイップかけたよう 潟渕 恵美子
北斎の波めく冬の日本海 潟渕 恵美子
朝稽古ほてりし顔に風花す 松田 文子
雨粒の枝に光るや春日差し 福江 真子
蝋梅の香りまとひて友来たる 谷 光恵
木の橋を渡り梅見や城下町 渡辺
★★★ 3月 ★★★
大前 貴之 選〈特選〉
新社員お辞儀の角度定規あて 潟渕 恵美子
洋館の窓の灯るや春の雪 福江 真子
春の日の照り翳りして一日過ぐ 白川 晴美
〈入選〉
春一番ゆるめし上着ふくれたり 潟渕 恵美子
福の豆年の数ほど食べられず 松田 文子
夜明けより寒の戻りの雪降れり 松田 文子
残雪の山肌見ゆる湯宿かな 西野 可代子
沈丁花地蔵を祀る路地暮るる 藤井 薫
梅の蘂まつ毛のごとく開きをり 白川 晴美
やはらかき春の日差にバスを待つ 盛一 紀子
佐保 光俊 選
〈特選〉
春雨や響き豊かに鐘の音 顕子
木蓮や香りと光満ちあふれ 顕子
やはらかき春の日差にバスを待つ 盛一 紀子
〈入選〉
新社員お辞儀の角度定規あて 潟渕 恵美子
雪嶺を車窓に北陸新幹線 松田 文子
そろそろと夫と耕す春の畑 西野 可代子
残雪の山肌見ゆる湯宿かな 西野 可代子
葺替の大工の背中雪舞へり 藤井 薫
干菜湯に肩までつかり母偲ぶ 白川 晴美
山霞み犀川光る朝かな 盛一 紀子
雨後の陽に解けてきたる金縷梅 村上 正人
長閑かなゆるり行き交ふ瀬戸の船 村上 正人
初節句仏と見まがう孫の笑み 渡辺 伸幸
春塵を上げドクターヘリ離陸せり 南 かつよ
以上、俳誌「雉」5月号より抜粋いたしました。
「雉」ネット俳句は、にわかに投句数が増えています。
人気が高まるにつれ、入選も難しくなるかもしれません。
是非、皆様、挑戦してみてくださいね。
「雉」会員の方、歓迎致します!(二重投句にご注意ください)
「『雉』ネット俳句」の投句は、
「雉」HPにて受け付けています。