「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

雉金沢句会(2021)3月通信

田島和生主宰 後日選

〈特選〉

  倶利伽羅の名残りの雪や通夜詣   本多 静枝

  独活洗ふ落人村の外流し      後藤 桂子

  白梅やまこと小さき骨の壺     海野 正男

 

春燈(ともし)遺影のまなこ潤みをり  佐瀬 元子

道端にかがむ親子やいぬふぐり     小林 亮文

暖かや鯉の群がる麩の一つ       後藤 桂子

きらきらと貫く水や梅三分       辻江 恵智子

立春大吉棟上の木の香り立つ      海野 正男

くつきりと犬と靴あと雪解径      生田 章子

牧開き水平線のかち色に        後藤 桂子

さんざめく雪解けの山野辺送り     度山 紀子

ストーブの火のとろとろと法話かな   福江 真里子

野辺送り春の吹雪となりにけり     佐瀬 元子

名を呼んで棺送れり春の雪       福江 ちえり

春浅し荒鋤の土湯気立ちて       後藤 桂子

校庭に声のちりぢり山笑ふ       辻江 恵智子

日脚伸ぶちよこんと椅子へ孫座る    中山 ち江

紅梅へ鳥居をくぐる車椅子       田崎 宏

校塔の時計狂はず卒業す        辻江 恵智子

足跡に足あと重ね春の浜        福江 ちえり

引く前の鴨ゆつたりと流れをり     佐瀬 元子

ふるさとの風の匂ひや地虫出づ     辻江 恵智子

両袖を広げ威を張る男雛        生田 章子

 

次回、担当は、後藤桂子さんです。

4月1日(木)必着

 

 

 

富山高志句会(2021)2月通信

小林 亮文 選

◎躙り口開けて通せる春の風    海野 正男

 料峭や一人づつ入るワインセラー 度山 紀子

 天を衝く栂の並木や春日差    山岸 昭子

 岩礁にさざ波しきり春の海    福江 ちえり

 早春の濠にゆるゆる鴨番ふ    度山 紀子

 早春や車庫に置かるる三輪車   生田 章子

 きさらぎの蒼天鳶のほしいまま  本多 静枝

 

佐瀬 元子 選

◎髪少し明るめに染め寒の明け   山下 貴子

 浅春やガラスのやうに波砕け   福江 ちえり

 春浅し農事暦へ書く行事     生田 章子

 地に拾ふ実のふくらめる今日雨水 山岸 章子

 躙り口開けて通せる春の風    海野 正男

 風そよと雪間に覗く黒き土    小林 亮文

 寒風の空鳴る夜の読書かな    潟淵 恵美子

 

2月の句会報の担当は、山岸昭子さんです。

推敲してお送りください。

3月の担当は、佐瀬元子さんです。

3月15日までお送りください。

 

 

ご連絡

本日 2月14日

「雉」同人 青木和枝様が逝去されました。

謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

 

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快復された直後。獅子吼高原にて。作句中!

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高岸寺さんで、主宰と最後の句会。

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かつて、高志句会での表彰。

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青木先生最後の句会。高志句会での風景。






雉金沢句会(2021)2月通信

田島和生主宰 後日選

〈特選〉

 連峰の尾根くつきりと春近し    小林 亮文

 岩穴の潮透き通り波の花      福江 ちえり

 刀鍛冶寒九の水を汲み置けり    辻江 恵智子

 舞ふ巫女の袖の膨らみ雪解風    後藤 桂子

 風花やトーストにのせ苺ジャム   田崎 宏

 師を訪はな訪はなと春を迎へけり  本多 静枝

 

大寒や水軟らかき水時計      田崎 宏

大試験終へたる孫の大鼾      中山 ち江

二ン月や靄湧く山の縹色      後藤 桂子

雲間よりすべり出づるや寒満月   山岸 昭子

サックスのロングトーンや凍つる風 度山 紀子

客を待つ蕾くれなゐ寒椿      福江 真里子

四尺の雪の真青に透けてをり    生田 章子

鍵盤を走る十指や寒満月      田崎 宏

氏神に祈願の母子梅三分      辻江 恵智子

春の雪港に白き練習船       山岸 昭子

満月の夜とまがへて雪あかり    度山 紀子

潮の香を放ちて飛べり波の花    福江 ちえり

くれなゐの色匂ふかに寒椿     福江 真里子

お座敷へ小股の芸妓実千両     田崎 宏

待春や人影もなき船溜り      本多 静枝

遠くより団扇太鼓や寒行僧     中山 ち江

笹子鳴く指の傷舐め竹細工     後藤 桂子

氷柱手の登校の子へ声かけり    度山 紀子

冴ゆる夜の酛を見守る杜氏かな   後藤 桂子

剱岳雲間を白き冬の月       小林 亮文

ぬばたまの夜の二の丸春の雪    辻江 恵智子

出棺を見送る門の氷柱かな     生田 章子

空青く冬芽のとがり登城坂     辻江 恵智子

新成人金箔の酒飲み干せり     海野 正男

寒晴の遠の立山際立てり      福江 真里子

 

次回、担当は福江ちえりです。

3月1日までお送りください。

 

 

雉金沢句会(2021)1月通信

田島和生主宰 後日選

◎淑気満つ利休鼠の気多の海   後藤 桂子

◎犬探すビラのひらひら年詰まる 辻江 恵智子

◎雫して山茶花の紅開きけり   福江 ちえり

 

 静まりし湖面を走り猟銃音     後藤 桂子

 冬うらら金沢港の見ゆる丘     宮崎 惠美

 一枚のカルテさながら古暦     海野 正男

 門松を褒めつつ買へり能登の塩   福江 ちえり

 軽トラに白菜積まれ能登路なる   福江 真里子

 雨音の徐々に強まり霰かな     田崎 宏

 あやとり橋うす紫にしぐれけり   辻江 恵智子

 寒濤へ御陣乗太鼓打ちこめり    小林 亮文

 うねうねと小流れの沿ひ冬菜畑   福江 真里子

 湯屋の窓ちかぢか迫る冬剱岳    山岸 昭子

 寒柝の仕舞ひの一打路地を抜け   田崎 宏

 ベーコンをかりかりに焼き朝の雪  海野 正男

 雨上がり日差ひろがる枯葎     福江 ちえり

 菰覆ふ塩焚小屋へ日差かな     福江 真里子

 炉話や嫁座は薄き藁座布団     後藤 桂子

 柚子湯浴び耳に綿棒心地よき    田崎 宏

 緋の袴押さへて巫女や雪の道    海野 正男

 帰り花畳に膝を正しをり      福江 ちえり

 ズワイ蟹皿をはみ出し祝ひ膳    佐瀬 元子

 餅搗くや月参りの僧手伝つて    生田 章子

 子のお節錦卵も一品に       中山 ちえ

 初電車母校の窓の見ゆるなり    後藤 桂子

 人違ひされて挨拶マスクの子    本多 静枝

 山茶花や人のまばらに塩の道    福江 真里子

 震へつつ聖夜の花火見てゐたり   生田 章子

 

主宰評

 全体として人事句が多く、やや俗な内容が目立ちました。俗な句でも、季語をうまく生かせば良くなると思います。

 また、歳時記をあまり開かず、季語を適当に使ったような句も幾つかありました。面倒ですが、季語を歳時記でいちいち確認するような習慣にすれば、俳句も自然と良くなると思います。

 

次回、2月1日締め切り 担当は宮崎恵美さんです。

遅れないようにお送りください。

雪のため、郵便物が一週間も届かない地区があり、会員の皆様にはご迷惑をおかけいたしました。その中で、「雉」誌の投句に間に合うよう、お電話にてご連絡をくださいました小林亮文先生に感謝申し上げます。有難うございました。