石黒哲夫 選
◎雪しんしん線路を守る工夫かな 青木 和枝
ころころと戯れる虎の子春立てり 小林れい子
大雪や五代夏子の「さだめ川」 亀田 次郎
円空仏おはす宿坊雪霏霏と 度山 紀子
樹木医の木木に声かけ雪の朝 吉田 泰子
ちちははの山河更けたり雪無音 本多 静枝
寺縁起四百畳の冷えに聴く 吉田 泰子
青木和枝 選
◎真つ白な雪の日に嫁し五十年 中山 ちえ
沸き上がる珈琲の泡春浅し 福江千英里
老犬に傘をかざして雪の道 木谷美奈子
押し並ぶ氷柱朝日に透き通り 海野 正男
荒れ狂う波の飛沫や水仙花 海野 正男
夢香山へ寒満月のうつろひぬ 小室登美子
出版を言祝ぐごとく寒満月 木谷美奈子