「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳句誌「雉」9月号から

         同人作品評(7月号)      中村 与謝男

落慶の堂へつばめの飛び込めり     中山 ち江
 落慶法要のさなか燕が飛び込んだのだ。句はそれだけを述べるが、心の弾みと祝意が鮮やか。

水玉の木綿裁ちたる立夏かな     谷口 和子
 夏らしい水玉模様の木綿を鋏などで裁つのだろう。裁つ音が聞こえてきそうな一句だが、句の巧拙を分けているのは、立夏の季語。かな止めも確か。

皮靴の埃うつすら花疲れ     福江 ちえり
 季語が現代と密接な形で詠まれている。うつすら埃を被った皮靴は、そのまま日常の些事すれすれの愁いと、かすかな疲労を象徴している。

          頬紅集 秀句佳句

禰宜の声風に奪はれ山開き    度山 紀子
短夜の身に残りたる船の揺れ     宮崎 惠美

その他、野澤 多美子 様 初投句で3句入選でした。おめでとうございます。

以上、俳句誌「雉」9月号より抜粋致しました。