新年 明けましておめでとうございます
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます
「雉」誌 新年号から
寿老人抱へ新居の小春かな 田島 和生
「同人作品評」 (11月号) 国枝 隆夫
手套して姫の真白き夜具曝す 青木 和枝
掲出句、博物館の所蔵品のうち、由緒あるお姫様の夜具であろうか。博物館は普通、空調管理されていても、年一回は曝す作業が伴う。〈姫の真白き夜具〉に対して、〈手套して〉の動作を発見したところから、臨場感を持った句となった。この動作に学芸員の心遣いも見えてくる。
くっきりと壁に木の影原爆忌 佐瀬 元子
掲出句、この木の影はいささかの揺れもなく、輪郭がはっきりしている影である。それは〈くっきりと壁の木の影〉だからこそ輪郭が鋭く、その写生に原爆忌への思いがこもっている。
絵硝子の一葉剥がれ炎暑かな 福江 ちえり
この絵硝子も教会の絵硝子であろう。ただこの絵硝子はカラーシールでも貼ったものであろうか、作者は木の葉でも描かれた一枚が剥がれているのを発見した。その一枚だけは強い直射日光が差し込んでおり、その日差しから、たちまち暑さを感じた。わずかな一枚の剥がれから、〈炎暑〉を感じた感覚に共感した。
頬紅集 秀句・佳句
白山や大吟醸の新走り 海野 正男
おめでとうございます。
以上、俳誌「雉」新年号より抜粋いたしました。