白蝶々二階の書斎越えゆけり 田島 和生
同人作品評(4月号) 田中 春生
ぬかるみの足跡凍つるどんど果て 福江 ちえり
どんどを消した後のぬかるみに残る足跡。その足跡のまま、ぬかるんでいた土が凍てついているのである。寒気の強さと荒々しさが伝わってくるとともに、どんどの燃え上がる熱気ある時は過ぎ去ってしまったことが否応もなく、はっきりと感じられるのである。しばしの「ハレ」の時の後に続く日常の時間。寒さの激しさが続く土地の日常性への転換が、「どんど」の終わりの具体的な情景を通して描かれている。
頬紅集の秀句・佳句
白山をそびらに越の山笑ふ 野澤 多美子
一つづつ摘んでは母へつくしんぼ 野崎 郁雄
おめでとうございます。
以上、俳誌「雉」6月号より抜粋いたしました。