「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」10月号から

主宰俳句
     白鳥座かかりて屋根の夜干梅   田島 和生


       同人作品評(8月号)   武藤 紀子

膝ついて茄子の初花のぞき込む   吉田 泰子
 茄子の花はあの紫色がほんに美しい。茄子の自身の紫色より淡いが着物に描きたいような紫色だ。日本の色だ。膝をついてのぞき込んでいる泰子さんが目に浮かぶ。

旅人も木橋も染めて杜若   佐藤 尚夫
 三河には「からごろもきつつ慣れにし」の歌で有名な無量寿寺という杜若の寺がある。掲句のように八つ橋とよばれる木の橋も、そこを渡る人も、杜若の花に埋まりそうだ。「旅人」といったところが句を深くした。


         祝・新同人

     宮崎 明倫さん (金沢)
     度山 紀子さん (富山)

     おめでとうございます。
     10月19・20日に行われる、「雉」全国大会にて、ご紹介があります。
     今後、益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

         祝・巻頭
      山岸 昭子さん (富山)
巻頭5句
     信者らの身を細め立つ滝開き
     一枝に混み合つて脱ぐ蝉の殻
     アカシアの花やねぶたの通る道
     乾杯のグラスに映ゆる夕焼かな
     分校のをなご先生合歓の花

     おめでとうございます。
     これからの更なるご活躍をお祈り申し上げます。
     また、ご一緒に勉強して参りましょう。宜しくお願い申し上げます。  


        頬紅集 秀句・佳句     田島 和生 主宰

乾杯のグラスに映ゆる夕焼かな   山岸 昭子
 お祝いの会だろうか。「乾杯」と一斉にグラスを上げ、触れ合わせる。大きなガラス窓に広がる夕焼けがグラスに映る。「グラスに映ゆる夕焼かな」の表現は詩情豊かで、調べもよく、会の弾んだ雰囲気がよく伝わる。

サングラス湯立の釜に畏まる   林 喜美子
 湯立(ゆだて)の神事は、大釜に煮えたぎる熱湯を使った占い。サングラスをした人が釜の前で正座して頭を下げている。そのアンバランスさが何ともおかしい。サングラスが「釜に畏まる」態度に、神様も笑っているかも知れない。

散水車走りし後に小さき虹   本多 静枝
 
日照り続きで、埃の舞い上がる通りを散水車が走る。キラキラ輝く水煙には小さな虹。日ごろ、見慣れた風景でもしっかり観察すれば、詩を授かるという好例である。〈星影の遠くに見えて花火待つ〉もいい。

 以上、俳誌「雉」10月号より抜粋いたしました。