「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」12月号から

主宰俳句
         みちのくは茜雲とぶ大刈田   田島 和生


         同人作品評(10月号)     武藤 紀子

神の杉讃えてゐれば蚊に刺され   石黒 哲夫
 思わず微笑んでしまいそうな味のある句だ。神の杉。樹齢三百年とかいわれて注連縄でめぐらせてある。立派な杉の木を、畏敬の念を持って見上げている一人の男。蚊はそんな敬虔の念を持つ人間に対しても容赦はしない。

墨染の父の大声昼寝覚   谷口 和子
 このお父さんは、お坊さんだろうか。お教で鍛えた大音声は実際に聞こえたのか。それとも真昼の夢の声なのか。


       第22回  「雉」賞発表

   雉賞     堀向 博子    「朱夏
   雉賞     小谷 廣子    「伊勢志摩」

   雉賞次席   神田 美穂子    「千枚田

   佳作 一席   浜田 千代美    「暑気払い」
   佳作 二席   寺田 紀代     「潮騒
   佳作 三席   松永 亜矢     「麦秋
   佳作 四席   篠崎 順子     「鞆の津」
   佳作 五席   小林 美成子    「路地の秋」

以上です。
入選された方々、心よりお祝い申し上げます。


          頬紅集 秀句・佳句    田島 和生 主宰

日の射して岩に一群とりかぶと   渋谷 代志枝
 とりかぶと(鳥兜)は秋、濃い青色の花を咲かす。根は有毒。岩の窪みに咲く鳥兜の青い花が日射しで一層冴え冴えと美しい。「岩に一群」の発見で、鳥兜の野性味を鮮やかに捉えた。手堅い表現もいい。

父の忌の酒に添へたる菊鱠   海野 正男
 父の忌日で親類縁者が酒を酌み交わす。酒の肴に、菊の花弁を茹で、甘酢をつけた菊鱠を添える。父も愛でたであろう菊鱠を食べ、皆で父の人柄を忍んでいる。そんな温かい光景が目に浮かぶ。

       
        「各地だより」〜北から南から〜

「藩祖の庭」 本多 静枝 さんが、執筆なさっていらっしゃいます。
どうぞ、ご覧くださいませ。

  以上、俳誌「雉」12月号より抜粋いたしました。