「雉」主宰俳句
鉄棒の少年逆さ遠雪嶺 田島 和生
土塊にゆづり葉挿しし鍬始
川蟹の玉藻つかみて凍てゐたる
同人作品評(新年号) 武藤 紀子
身に入むや子規自画像の目の黒し 佐瀬 元子
子規という人が病気で倒れなかったらどれだけの仕事を成し遂げただろうかと考える。「目の黒し」で子規の意志の強さが表現されていると思う。
頬紅集 秀句・佳句 田島 和生 主宰
一丈の櫂を操る寒造り 後藤 かつら
寒の冷気、冷水による寒造りの酒は味もいいらしい。杜氏が一丈、つまり三メートルもある長い櫂を使って大樽の原料を回している。その様子を「櫂を操る」と詠み、いかにも名杜氏が銘酒を醸造しているようである。
以上、俳誌「雉」3月号より抜粋いたしました。