「雉」主宰
田島 和生
春禽の玻璃へ当たりて高嶺晴
鐘の音や蓮は泥より赤芽出し
沢木 欣一 先生
墓の師に目頭あつく木の芽晴
頬 紅 集 秀句 佳句
杉玉にさがりし御札雪解風 宮崎 恵美 杉玉は杉の葉で玉を作って酒屋の軒に飾り、酒林とも言われる。その下に神社の護符が下がり、雪解時の風に吹かれている。春を迎えた雪国だろうか。御札にも目を留め、味わい深い作品に仕立てた。
どんぶりで鱈汁を飲む親父かな 亀田 次郎
定食屋あたりで見た光景だろうか。どこかの親父が鱈汁を大きなどんぶりで飲んでいる。「どんぶり」で飲む鱈汁はいかにもうまそうである。おいしいものは、おいしそうに詠むのが基本だが、その見本のようで、大変楽しい。
以上、俳誌「雉」5月号より抜粋いたしました。