「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」7月号から

田島 和生 主宰俳句

      たんぽぽの絮の高舞ひ津軽富士
      束の間をこの星に酌み春愁ひ
      初鰹稿を草して一盞を

      同人作品評(5月号)     中田 尚子

春の雨本の匂ひの牧師室   福江 ちえり 「本の匂ひ」に、うっとりとなった幼い頃を思い出しました。掲句は「牧師室」ですから、キリスト教を初めさまざまな古い本がたくさん置かれているのでしょう。多くの人に読まれ、また新しい読み手を待っている本。「春の雨」の静かさが、教会全体を包んでいます。


      紅 頬 集  (北陸の方の作品紹介)

  初蝶の現れ消ゆる速さかな     野崎 郁男
  永き日の海に山女魚突如飛ぶ    山岸 昭子
  ねんごろに玉葱炒め日の永し    大上 章子
  一枚ぬぎ二枚目ぬぐや山笑う    松本 よね子
  雲雀鳴く下や航空自衛隊      海野 正男
  大原や鴟尾におぼろの月かかり   本多 静枝
  暮の春夫に購ふ飯茶碗       宮崎 惠美
  波音に乾く若芽や間垣村      後藤 かつら
  卒業の記念樹仰ぎ春惜しむ     古西 純子
  暗闇の明かりとなりて白木蓮    生田 章子
  大祭の花火に子鷺群れ立てり    林 喜美子
  やうやくに髷結ふ力士風薫る    亀田 次郎
  米寿なる吉崎参り花の磴      野沢 多美子
  石楠花や塔の背にふところに    渋谷 代志枝

  以上 俳誌「雉」7月号より抜粋いたしました。