「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」12月号から

主宰俳句
        月 山        田島 和生 主宰

                  
   庄内の里は沈みて稲穂波
   早稲の香や神々の峰まのあたり
   山伏の宿明けそむる鵙のこゑ
   護摩壇の火の粉飛び散り豊の秋
   一品は月山きのこ塩むすび
   秋雨の五重塔のしぶきけり
   月山の木道干割れ濃竜胆
   山神の風わたりゆく花芒 

     紅 頬 集  秀句・佳句    田島 和生 主宰
産小屋の板戸の軋み雁渡し   後藤 かつら
 昔、出産は不浄とみなされ、産婦が産小屋(産屋)で出産した。その産小屋が保存されているのだろうか。初秋のころに吹く北風(雁渡し)に板戸が鳴る。「板戸の軋み」が理不尽な時代を思い起こすようである。手堅い写生で大変いい。
〈産小屋や秋の日届く力縄〉も秀逸。