主宰俳句
月 山 田島 和生 主宰
庄内の里は沈みて稲穂波
早稲の香や神々の峰まのあたり
山伏の宿明けそむる鵙のこゑ
護摩壇の火の粉飛び散り豊の秋
一品は月山きのこ塩むすび
秋雨の五重塔のしぶきけり
月山の木道干割れ濃竜胆
山神の風わたりゆく花芒
紅 頬 集 秀句・佳句 田島 和生 主宰
産小屋の板戸の軋み雁渡し 後藤 かつら
昔、出産は不浄とみなされ、産婦が産小屋(産屋)で出産した。その産小屋が保存されているのだろうか。初秋のころに吹く北風(雁渡し)に板戸が鳴る。「板戸の軋み」が理不尽な時代を思い起こすようである。手堅い写生で大変いい。
〈産小屋や秋の日届く力縄〉も秀逸。