「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」新年号から

明けましておめでとうございます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

主宰俳句
         木の実雨      田島 和生

     鵙鳴いて連山は胸開きたる
     月蝕の底や蟋蟀るるるると
     幼らが拾ふどんぐり団子むし
     神前の三和土にこぼれ藪虱
     長き夜を八十翁と湯浴みかな
     桃青の城の通ひ路木の実雨
     翁忌や湖国を山車のきらびやか
    義仲寺
     芭蕉忌の踊念仏ひさご振り


         同人作品評(11月号)    山西 雅子

献灯の一つ一つにちちろ鳴く   谷口 和子 同時発表の御作から拝見するに、この句の「献灯」は知覧特攻平和祈念館への道を中心として奉納されたものでしょう。「一つ一つ」はそこに「一人一人」を重ねる作者の思いがこもる言葉、「ちちろ鳴く」はその魂を悼む心が選ばせた季語です。


         紅 頬 集  秀句佳句    田島 和生 主宰
名水に長き行列赤とんぼ   林 喜美子 作者は富山県立山市に在住なので、立山連峰の名水と思われる。名水を飲むため、長い行列ができる。秋晴れに赤とんぼが舞い、名水に映る。美しい日本の秋を素直に詠み上げ、いい作品である。


今年の表紙絵は、小倉遊亀(おぐら・ゆき)さんの作品「姉妹」です。

「姉妹」は、昭和45年の作。円熟期の代表作で、あどけない少女二人の姿をみずみずしい筆致で描き、かぐわしく匂い立つようである。作品について、遊亀は、「無心な童女の姿が天の真実に直結する瞬間、私の心をとらえた」と語った。(画集『百歳記念』高梨純次・解説)
俳誌「雉」新年号より転載。