主宰俳句
富 士 湧 水
田島 和生 主宰
渡る日や丸子の宿の蜜柑山
まむしぐさ結実赤く藪隠れ
眼白群れ早瀬へ落葉とめどなき
湧水の輪の広がり来冬山葵
また跳ねて富士湧水の冬の鮠(はや)
枇杷の咲き湧水あまくやはらかき
つやつやの茶屋の太梁とろろめし
鶺鴒のよきこゑ二つとろろめし
同人作品評(12月号) 山西 雅子
山小屋に貰ふ番の月鈴子 宮崎 明倫
秋山に登ってその美しさを満喫した夜、山小屋の主から「月鈴子」のつがいを戴いたのでしょう。山の空気を纏った虫の声は、下界に戻ってもその美しさを失わない。あこがれを抱きます。
紅 頬 集 秀句・佳句 田島 和生 主宰
報恩講茶渋を洗ふ割烹着 宮崎 惠美
報恩講は、浄土真宗の開祖親鸞の忌日法要だろうか。門徒の婦人が白い割烹着を着て、使った茶碗を洗っている。「茶渋」「割烹着」と具体的に詠み、風景もよく見え、大変いい。
以上、俳誌「雉」2月号より抜粋いたしました。