「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」4月号から

主宰俳句

       風 花       田島 和生
    遥かまで富士の裾廻や春近し
    夜の霜ぽつんぽろんとサティの曲  
 
      宮さと志さんを悼む
    風花のにはかに激し天に舞ふ
      靖国神社五句
    霜晴を赤き銹垂れ大鳥居 
    待春の靖国桜脂吹けり
    冬の塵一兵卒の丸めがね
    憲兵の珠の碑凍つる宮の裏
    明日立春ひたと白鳩嘴合はし


       同人作品評(二月号)    中村 雅樹
板渡し泥の蓮根運ぶなり   佐藤 尚夫 「板渡し」で目が効いた一句と思いました。蓮田を直接歩こうとすると、ズブズブとはまり込んでしまいます。これでは仕事になりません。そこで板を渡すのでしょう。泥まみれになって、泥だらけの蓮根を運ぶ様子が、リアルに伝わってきました。


       紅頬集  秀句 佳句     田島 和生 主宰

紙漉の簀板に触るる胸乳かな   後藤 かつら 紙漉き(かみすき)はこうぞ、みつまた、がんぴを主原料にし、砕いた繊維を水に溶かして長方形の板枠にはめた簀(ず)で漉き上げる。腰を曲げ、前後に簀を動かすたびに着物越しの乳房が板枠に触れる。激しい作業ぶりを鮮やかに詠み上げ、味わい深い。


以上、俳誌「雉」四月号から、
北陸地区関係の記事を抜粋いたしました。