「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」7月号から

主宰俳句
       遥かなるもの
                 田島 和生

   遥かなるものへ声張り朝の雉
   朝日差ひゆつと風切る燕かな
   紅つけてあち見こち見と豆の花
   蓮芽吹く寺に七つの捨火鉢
   夏鴨の一羽は逸れて二羽翔る
   風にちり小鳥にこぼれ白卯木
   小海老のせ安芸も奥なる祭鮓
   草の絮舞ふや落日刻々と

       同人作品評(5月号)   中村 雅樹
花馬酔木縄を解かれて揺れてをり   佐藤 尚夫
 先日、浄瑠璃寺を訪ねました。ちょうど馬酔木の花盛りで、なかなか趣のあるお寺でした。秋櫻子の句を思い出しました。ということで、わたしはこの句に接して、ただちに浄瑠璃寺を思い起こしました。さて、「縄を解かれて」とは、どのような状況なのでしょうか。そこに至る事情はまったく述べられていません。しかし結果だけは、「揺れてをり」とはっきりとしています。俳句は経過を詠むのではなく、ぶっきら棒に結果を詠むものと説く人がいますが、この一句はまさにそのような句です。

あたたかや伸びては縮む紙の笛   谷口 和子
 そう言えば、このような玩具がありました。息を吹くと細長い紙の管が伸び、息を吸うとくるくると巻くのです。このような紙の笛を思い浮かべたとき、「あたたかし」という季語が効いていると思いました。


    エッセイ 「金沢通信」 海野 正男 さんの連載が始まっています。       全6回の予定で、今回が2回目です。
       北陸新幹線が開業し、賑わう金沢の今昔をお楽しみください。

       大好評「雉」ネット俳句   
  今回もたくさんの方のご応募がありました。
  北陸の方々の入選も目立ちます。以下に、北陸の方の入選句をご紹介いたします。

  大前 貴之 選

  特選  万華鏡のごとくに寄りし花筏   潟渕 恵美子
      乗り継ぎの駅にて食ぶる鯖の鮨  藤井 薫
      筬欄間光の透くる夏座敷     金山 多美子  入選  用水の流れの速し風薫る     福江 真子
      車椅子にガラス越しなる八重桜  吉岡 ユキ
      簀虫籠の中へ吹き抜け春の風   松田 文子
      ゴンドラが緑の山を登りゆく   盛一 紀子

  佐保 光俊 選

  特選  万華鏡のごとくに寄りし花筏   潟渕 恵美子  入選  簀虫籠の中へ吹き抜け春の風   松田 文子
      用水の流れの速し風薫る     福江 真子
      乗り継ぎの駅にて食ぶる鯖の鮨  藤井 薫
      ゴンドラが緑の山を登りゆく   盛一 紀子
      開店の花屋にもらふ薔薇の花   盛一 紀子

  「雉」ネット俳句は、会員の方もご応募いただけます。
  是非、雉ホームページよりご投句ください。お待ちしております。


以上、俳誌「雉」7月号より抜粋いたしました。