「雉」北陸地区のブログ

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一枚の絵「大原女少女」

田島 和生
   大原女の籠よりあふれ赤かぶら  
                 
 白手拭をかむり、小さな頭に載せるのは、籠に入れた大根、かぼちゃ、赤蕪……。
花模様の着物に草履履き。澄んだ目。固く結んだ赤い口元――
あどけない少女の働く姿を写実的に描く。
日本画固有の美に満ちた名作である。

 京都・大原から市中に野菜などを売り歩いた大原女(おはらめ)。
その少女を色彩豊かに描いた「大原女少女」。
大原に住み「孤高の画仙人」と言われた 小松 均 画伯(1926−89)の傑作である。

 画伯は山形県亀井田村(現・大石田町)生まれ。
一歳で僧職の父と死別。幼児期に再婚した母と離別。
極貧生活にめげず日本画家として大成し、帝展や国展、院展などで活躍された。
最上川」「富士」シリーズなどの大作も描き、版画も手がけた。
「大原女少女」は、太平洋戦争さなかの昭和19年作。
京都市大原井出町、小松均美術館(休館中)所蔵。
平成24年、私が主宰する「雉」表紙絵に飾らせていただき、大変好評だった。

        (「俳句四季」8月号より転載 )