「雉」北陸地区のブログ

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俳誌「雉」新年号

明けまして おめでとうございます
今年も どうぞ宜しくお願い申し上げます


今年の表紙 「葱ぼうず」 小倉 遊亀(おぐら ゆき)作


主宰俳句        宮 島 行                     田島 和生 
     返しては貝殻鳴らす小春浪
     紅葉して櫨や漆や海の崖
     神島や木の実にまがふ鹿の糞(まり)
     臥す鹿に茣蓙を着せやる紅葉山
     目を剥いて雄鹿の頭突き冬ざるる
     剛毛の鹿の背に触れ冬日
     撫でられて雌鹿目つむる小春風
     松影の子鹿が噛めり松落葉

         同人作品評(11月号)     長嶺 千晶
水に棲むものにも秋の影生まる   石黒 哲夫
 「水に棲むもの」が何であるのかを作者は限定していないが、そこにも「秋の影」を感じた繊細な気付きが詩情をもたらしている。輪郭をぼかした表現に幽玄の趣を覚えた。

大欄間彫り上げ親子月に酌む   吉田 泰子 彫師は木の中にすでに完成した形が見えるという。親子の力で彫り上げた大欄間を前に、自祝の酒は何と美味なのだろう。折しも月も加わって至福の一時が詠みとめられた。

をさなごの和毛梳き寄せ祭髪   谷口 和子 祭髪に結い上げるために櫛で寄せると、まだ幼子の髪は柔らかく、まさに「和毛」である。「梳き寄せ」の優しい仕草に子を慈しむ心が表れている。祭の様々な楽しさである。

以上、俳誌「雉」新年号より抜粋いたしました。