主宰俳句
面壁の如く
田島 和生
くわりんの実一笑塚の膝に地に
広がつて海の紺青いてふ舞ふ
冬凪の果ての房総青白き
岩牡蠣の岩に息づく忘れ潮
抱かれたき子が母呼ばふ冬木坂
ジャケットの胸へ怒涛のしぶきかな
面壁の如く冬浪また現るる
半田考淳座主 入寂
天台座主大往生の山眠る
同人作品評(12月号) 長嶺 千晶
稲妻に浮かぶ立山闇深し 小林 亮文 今はトロッコ電車やバスを乗り継いで2,500メートル弱の室堂まではなんなく行きつけるが、その先3,000メートル峰の立山はさすがに険しい登山となる。「稲妻に浮かぶ」一瞬の立山の神々しさ、そして「闇深し」は厳しい自然を物語っている。
紅頬集 秀句・佳句 田島 和生 主宰
吾が影を踏まへ大根引き抜けり 後藤 かつら 穏やかな小春日和に畑の大根を抜く。育ちもよく、太っているので力を込めて引く。自分の姿を客観的に「吾が影を踏まへ」と、丁寧に描写した点がいい。
以上、俳誌「雉」2月号より抜粋いたしました。
掲載が遅れてしまい、申し訳ありませんでした。