「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

5月8日(日)雉金沢句会

田島主宰 来沢

   一日這ひ泥に8の字田螺の子   田島 和生
   楠若葉こがね光りに加賀の里
   へこ帯のやうにほどきて笹ちまき
   崖下へ皮脱ぎ払ひ雄竹かな

田島 和生 主宰 選

  〈特選〉余寒なほ一匙づつの朝餉かな   青木 和枝
      おぼろ夜の呂律怪しき猫のゆく  石黒 哲夫
      峡谷のヴィーナス像や余花の雨  吉田 泰子
      桜咲き海より明くる醤町     石黒 哲夫

祖母真似て孫の合掌五月晴      中山 ちえ
宿ひとつ更地となれり青葉木菟    谷口 和子
用水のよどみへ桜蘂の降る      福江 真里子
母の手を振り切り走り風光る     北野 陽子
斑雪峰をそびらに湾の凪ぎ渡る    山岸 昭子
老松の苔の際立つ緑雨かな      小林 れい子
美術館出て眼間に青嶺かな      小林 亮文
子に少し頼りたき鍬夕蛙       山岸 昭子
永き日の筬音寺の二階より      吉田 泰子
古民家のコーヒータイム大青嶺    小林 れい子
雲一条五月の空の真ん中を      本多 静枝
木の芽和みな骨董の欠け茶碗     海野 正男
のどけしや真鯉の口の並び来る    小林 亮文
チェロ弾いて瞑る奏者聖五月     谷口 和子
磴を染め落花のつづく廃寺かな    福江 ちえり
幼らの笑ひどほしの田植かな     朝倉 みゆき
風薫る新幹線を待つあたり      北野 陽子
横長の山羊の目やさし山笑ふ     青木 和枝
古稀近き子と観覧車月おぼろ     野澤 多美子
ふるさとは近ちの牡丹遠ちの山    石黒 哲夫
客を待つ志功旧居の円座かな     吉田 泰子
畳屋に日の丸揚がるみどりの日    谷口 和子
鳥越のそば屋の出口青嵐       福江 真里子
三輪車鯉幟立て走りをり       北野 陽子
六文の旗のはためく夏燕       山岸 昭子
山門の草鞋にそそぐ新樹光      本多 静枝
鍬跡の光る竹の子笊の中       田崎 宏
祝膳うからと能登の初蕨       中山 ちえ
菱櫓白き瓦の聖五月         本多 静枝
若葉風ねまる鹿らの振り向かず    大上 章子
大甕に山吹活けし老舗かな      中山 ちえ
揺れどほす一揆の城の残花かな    福江 ちえり
こいのぼり雨後の瓦の黒光り     朝倉 みゆき
暗がり坂登りて仰ぐ朧月       小林 亮文
夏燕庇に匂草木染          豊田 高子
震災や傾く屋根に鯉幟        小林 れい子


田島和生主宰 選評