田島先生をお迎えして
雲垂れて加賀は冬芽の青丹色 田島 和生
柚子もげばにはかに朝日匂ふかな
鈴懸の落葉や椅子に来て止まる
田島 和生 主宰 選
〈特選〉
いてふ散る音楽会の太鼓かな 北野 陽子
しぐるるや十坪に満たぬ雨宝院 海野 正男
玉葱を植うる古墳の裾廻かな 吉田 泰子
〈入選〉
店ごとに落葉掃きをり並木道 小林 亮文
柚子まつり犬も足湯につかりをり 小林 れい子
回廊の擬宝珠をかすめ冬の蜂 佐瀬 元子
色葉散る能楽堂の列長し 度山 紀子
十夜鉦洩れくる路地の新居かな 吉田 泰子
冬うらら手話を混へて合唱す 田崎 宏
枯蟷螂神の木に斧たたみをり 福江 ちえり
満月の梢にかかり枯木立 太平 栄子
傘傾げすれ違いけり石蕗の花 大上 章子
報恩講赤き法衣の幼座し 生田 章子
ラジカセの歌流るるや松手入 小林 亮文
白山の冠雪見たる橋に立ち 野澤 多美子
小銭置く子抱き地蔵や木の葉舞ふ 度山 紀子
爺婆の腕にブランコ七五三 田崎 宏
写経筆乾いてゐたる小春かな 福江 ちえり
おのれより大き虫食み枯蟷螂 山岸 昭子
小春日や宮の日向にとんぼ群れ 大上 章子
秋高し親子笑顔の観覧車 松本 よね子
穭田へボールを蹴つて下校の子 度山 紀子
小春日の差すや閻魔の罪秤 吉田 泰子
琵琶の花ほころんでをり駐在所 福江 ちえり
雪吊の庭師の妙技水に映ゆ 本多 静枝
竹伐るや川瀬のしぶき垣間見え 太平 栄子
古書店に群がる人や秋深し 生田 章子
朝日受く雑木黄葉の城の町 宮崎 惠美
黄落やチェロを小脇に香林坊 豊田 高子
秋深し百歳の宮逝き給ふ 大上 章子
小春日や術後はつきり妻の皺 宮崎 明倫
秋麗幹の皮脱ぐさるすべり 太平 栄子
日の照りて小虫群がる石蕗の花 野澤 多美子
命日に供ふ嵯峨菊白と黄 松本 よね子
大寺の屋根に嵩増す柿落葉 木谷 美奈子
袴の子磴に引き摺る千歳飴 本多 静枝
鵙高音大拙館の思索の間 海野 正男
冬鴉すみれ色なる空わたる 青木 和枝
次回、12月11日（日）午後1時〜4時
金沢彦三公民館２Ｆ
投句4句 互選5句
たくさんの方々のご出席をお待ちしております。
