「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」2月号(2019)

主宰俳句 

   冬  泉     田島 和生

月の出を杭に黙して冬の鵙

しろがねの月昇りけり鳰のこゑ

顔振つて鴨は流れ藻ちぎりゐし

沢蟹の爪をきれいに冬泉

加賀晴れて雪の白さの蕪寿司

  武蔵国分寺

寺跡へ榎落葉の夥し

凍雲を仰ぎ仰ぎて身内ゆれ

倚りかかるもの何やかや大枯木

 

     平成30年の我が一句

田島 和生 主宰

自画像の眼に見返され冴返る

 

円墳のいつときかげり昼蛙   青木 和枝

ひきがへる芥の中に身構へる  小林 亮文

花吹雪車椅子押す男の子    小林 れい子

初蝶の師の句碑なぞる手に来たる  佐瀬 元子

暖房にまどろみやすき祈りかな   福江 ちえり

汗しとど本堂往き来の作務衣の子  中山 ちえ

雪掻きや屋号飛び交ふ麓村   度山 紀子

照り降りにすつくと鶏頭綾子の忌  山岸 昭子

点滴のリズムかろやか春立てり   宮崎 明倫

初七日や浅葱色なる夏座布団    海野 正男

茄子苗を植ゑて支柱に蝶結び    本多 静枝

青嵐三仏相の巌かな        宮崎 惠美

なみなみとどぶろく注ぎ割烹着   後藤 かつら

 

     紅頬集 秀句佳句   田島和生主宰

 

立山の近く見ゆる日石蕗の花   大上 章子

 立山は日本を代表する山。富山在住の作者は毎日仰いで暮していると思われるが、石蕗の花が咲くころ、天気のいい日には雪に輝く立山も間近に見える。遠くの大きな山と手前の小さな石蕗の花。山の白さと花の黄色を対比させ、自然の美しさを鮮やかに描く。

 

以上、俳誌「雉」2月号より抜粋いたしました。