主宰俳句
初 諸 子 田島 和生
富士の嶺は末広がりに春立てり
磨り減つて軍鶏の蹴爪や春寒し
春昼の軍鶏が水呑む胸ぬらし
うららかや雄しやもの雌小突きゐし
しゃもの子の走りやまざる日永かな
白梅の枝弓なりに兜太の忌
浮草の萌ゆれば集ふ薄みどり
割箸へまなこ見開き初諸子
紅頬集 秀句佳句 田島 和生 主宰
白壁に大根の影や大根干す 福江 真里子
白い蔵の壁だろうか。大根の影がくっきり映っている。その影は干し大根の影で、「大根」(だいこ)のリフレーンで強調している点が面白い。〈着ぶくれて境内に立つ達磨売〉も「着ぶくれて」で、売り手も達磨そっくりに思われ、傑作である。
以上、俳誌「雉」4月号より抜粋いたしました。