「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」4月号から(2019)

主宰俳句

    初 諸 子   田島 和生 

富士の嶺は末広がりに春立てり 

磨り減つて軍鶏の蹴爪や春寒し

春昼の軍鶏が水呑む胸ぬらし

うららかや雄しやもの雌小突きゐし

しゃもの子の走りやまざる日永かな

白梅の枝弓なりに兜太の忌

浮草の萌ゆれば集ふ薄みどり

割箸へまなこ見開き初諸子

 

     紅頬集 秀句佳句   田島 和生 主宰

 

白壁に大根の影や大根干す   福江 真里子

 白い蔵の壁だろうか。大根の影がくっきり映っている。その影は干し大根の影で、「大根」(だいこ)のリフレーンで強調している点が面白い。〈着ぶくれて境内に立つ達磨売〉も「着ぶくれて」で、売り手も達磨そっくりに思われ、傑作である。

 

以上、俳誌「雉」4月号より抜粋いたしました。