「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳句誌「雉」6月号から

自句逍遥十句⑮ 吉田泰子  
風抜けもありて越路の稲架作り
墓守の土間に野蕗の一とかかへ
栃の花籠の渡しの名残り石
十薬の香につきあたり寺井跡
朝焼や束子で磨く鮫の膚
入札を締め切るベルや海鞘の市
甲高く唄ひ出したり風の盆
椎若葉万葉の杜ふくらめり
弁慶は拳で泣けり歌舞伎山車
初つばめ軒の鏝絵にひるがへり
寺縁起四百畳の冷えに聴く


「同人作品評」(四月号)    中村与謝男

屠蘇の酔ひ醒めて日暮れとなりゐたる  福江千英里 
 年齢を重ねると、正月、まして元日も感慨が変わるものだ。「日暮れとなりゐたる」と直叙することで、大人の作品になしえた。屠蘇の酔いが醒め、元日は暮れていく。


「紅頬集の秀句佳句」 
 
 忽ちに鉢の芽隠す春霞       宮崎明倫
 子の墓の雪まだ固き彼岸かな    生田章子
 椿落つ鏡花全集読みおれば     海野正男
 早立ちの子を見送れば雉鳴けり   林 喜美子

 以上です。おめでとうございます。