於:彦三公民館
主宰俳句
浮根より椿つやつや蘖ゆる 田島 和生
越前は曇り癖なり田を植うる
上ミの田や蝌蚪散りまどふ泥けむり
聖五月裏も磨きて旅の靴
田島 和生 主宰 選〈特選〉
梳けば飛ぶ馬の抜毛や夏きざす 福江 ちえり
烏賊釣火水平線を縁どれり 海野 正男
石廟に蠟涙の痕若葉冷 後藤 桂子
〈入選〉
車椅子押す人乗る人チューリップ 生田 章子
八幡堀新樹明りに手漕ぎ船 豊田 高子
橋伸びるあれよあれよと海市かな 山岸 昭子
乾杯は熱き味噌汁春の山 青木 和枝
潟の面の逆さ白山花見酒 石黒 哲夫
砂塵舞ふ馬場へ水打つ真昼かな 福江 ちえり
涼風やメタセコイアの葉のひかり 辻江 恵智子
祭笛白き髪にもふるへけり 北野 陽子
招魂社欅若葉の香り来る 大上 章子
護岸堤包む青蔦雨しづく 佐瀬 元子
青葉風鏑矢の的真二つ 小林 亮文
花は葉に火牛像建つ古戦場 本多 静枝
炊きたての筍飯の手向け膳 度山 紀子
刈り頃の麦の戦ぎや干拓地 後藤 桂子
飛ぶ前は楕円の形しやぼん玉 福江 真里子
春空へショベル車の腕舞ふごとし 小林 れい子
甘茶かけほほえむ顔や仏顔 小林 亮文
雲の峰散歩の足のもつれけり 宮崎 明倫
山の湯へ上る川船余花白し 吉田 泰子
水面なる立山乱れ田を植うる 山岸 昭子
旅人の足垂らす河岸リラ匂ふ 石黒 哲夫
見送つて見上げる空に朧月 北野 陽子
万緑の底に山湖の水ひかる 辻江 恵智子
雀のる跳ねて蓮如の寺まほら 石黒 哲夫
白湯呑んでむせぶ朝や桜冷え 青木 和枝
うららかに散髪を終え紳士かな 宮崎 惠美
帯持たれ山車より下りる幼かな 佐瀬 元子
黄に染むる立山劔春の夕 小林 れい子
天辺から若葉の萌ゆる屋敷林 生田 章子
訪ねしは妣の故郷花は葉に 木谷 美奈子
薫風に幼包まれ滑り台 度山 紀子
新墓の文字ふくよかに黄砂降る 福江 ちえり
遠足児草の香日の香つけ帰る 後藤 桂子
円筒埴輪うつる裾廻の代掻けり 吉田 泰子
参道を駈くる神馬や青葉風 小林 亮文
窓越しに手話の男女や春の夜 小林 れい子
はなびらの絹光りせり白菖蒲 海野 正男
牡丹咲く友禅を描く師の庭に 北野 陽子