於：おやべコミュニティセンター １Ｆ
温泉の土産の目刺提げてくる 小室 登美子
潮溜り若芽のくずのひらひらと
蕨とりふと羚羊と目の会える
野仏を遠くに拝み春惜しむ 佐瀬 元子
老鶯や神通峡の水碧し
大木の天辺占めて藤の花
雨催じやがいもの花出そろひぬ 本多 静枝
熊本へ鎮魂の鐘青葉雨
青空に鳶悠々とあいの風
あたたかや時を忘るる土いぢり 野澤 多美子
庭狭め地蔵の桜溢れ咲く
いちはつの水玉こぼす夜半の雨
里山の青葉若葉や新校舎 松本 よね子
落椿岬へ消ゆる油送船
真つ白シャツ翻る遠青嶺
早苗積むトラック二台のろのろと 潟渕 恵美子
まなかいに花爛漫の讃岐富士
釣革に凭れて見たる八重桜
ゴールしてタオル乱舞や花吹雪 金山 多美子
シャボン玉幼と数を競ひをり
春深し喪服の友の涙かな
後輩へ注ぐ新茶の香りかな 志賀 理子
たんぽぽのやうに根を張り生きるかな
数十年の時の流れや昭和の日
春祭り獅子の大口祝儀かな 西野 可代子
強風や巨木のに揺るる花通草
苗床へよろよろと椅子運びけり
山里に一際高き初幟 松田 文子
光芒を受けて色増す麦畑
夫婦山登れば赤き山つつじ
大橋は海の上ゆく春の風 山田 光子
晩春の雪絵の僧やにぎにぎし
牡丹咲く一夜の雨にうつむきて
雉鳴くや夕風止まぬ王の墓 福江 ちえり
それぞれに広き空あり桐の花
句碑へゆく石段ひくき花の寺
