主宰俳句
夜焚火 田島 和生
榾木もてつつかれ怒る大榾火
夜焚火の火の粉が水にはねにけり
川浪の触れて鳴るかに草つらら
青ざめて雪の白山なほ暮れず
デパートへ雪沓ぬれて加賀をんな
広島や吹雪は川面閉ざすなり
冬草を山羊のむさぼる鬚濡らし
角鳴らし山羊の闘ふ寒風下
紅頬集 作品紹介
年用意煮る黒豆の色淡し 志賀 理子
店先へ飾る橙葉の大き
小寒や湯気を纏へる卵焼
金目鯛鍋に丸ごと祝ひ膳
年玉に礼儀正しき子供かな 野崎 郁雄
蒲団からなかなか出れぬ朝かな
朝が来て朝が来て又雪を掻く
気の置けぬ人と語らふ暖炉かな
パソコンの操作つまづく年の暮 野澤 多美子
預かりし猫と留守番御節炊く
雪吊りの見目よき姿今朝の雪
義姉の忌の能登は白々吹雪きけり
蓮掘と一声かはす干拓地 辻江 恵智子
継ぎはぎの牛舎の木戸や虎落笛
くつきりと仁王の手相冬つばき
牛小屋へ一筋の日矢寒日和
母さんと我呼ぶ夫や柚子匂ふ 古西 純子
海越しに立山長く寒日和
極月の出船入船よき日和
奉納の絵馬を外せる年用意
以上の方々、4句入選、おめでとうございます。
以上、俳誌「雉」3月号より抜粋いたしました。