「雉」北陸地区のブログ

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雉金沢句会(2021)2月通信

田島和生主宰 後日選

〈特選〉

 連峰の尾根くつきりと春近し    小林 亮文

 岩穴の潮透き通り波の花      福江 ちえり

 刀鍛冶寒九の水を汲み置けり    辻江 恵智子

 舞ふ巫女の袖の膨らみ雪解風    後藤 桂子

 風花やトーストにのせ苺ジャム   田崎 宏

 師を訪はな訪はなと春を迎へけり  本多 静枝

 

大寒や水軟らかき水時計      田崎 宏

大試験終へたる孫の大鼾      中山 ち江

二ン月や靄湧く山の縹色      後藤 桂子

雲間よりすべり出づるや寒満月   山岸 昭子

サックスのロングトーンや凍つる風 度山 紀子

客を待つ蕾くれなゐ寒椿      福江 真里子

四尺の雪の真青に透けてをり    生田 章子

鍵盤を走る十指や寒満月      田崎 宏

氏神に祈願の母子梅三分      辻江 恵智子

春の雪港に白き練習船       山岸 昭子

満月の夜とまがへて雪あかり    度山 紀子

潮の香を放ちて飛べり波の花    福江 ちえり

くれなゐの色匂ふかに寒椿     福江 真里子

お座敷へ小股の芸妓実千両     田崎 宏

待春や人影もなき船溜り      本多 静枝

遠くより団扇太鼓や寒行僧     中山 ち江

笹子鳴く指の傷舐め竹細工     後藤 桂子

氷柱手の登校の子へ声かけり    度山 紀子

冴ゆる夜の酛を見守る杜氏かな   後藤 桂子

剱岳雲間を白き冬の月       小林 亮文

ぬばたまの夜の二の丸春の雪    辻江 恵智子

出棺を見送る門の氷柱かな     生田 章子

空青く冬芽のとがり登城坂     辻江 恵智子

新成人金箔の酒飲み干せり     海野 正男

寒晴の遠の立山際立てり      福江 真里子

 

次回、担当は福江ちえりです。

3月1日までお送りください。