「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」9月号から

主宰俳句 
       河 童 忌
                田島 和生

    河童忌の雨はらはらと青木賊
    むくげ咲き湖岸の村を通り雨
    闇雲にとべば壁打つ油蝉
    山鳩のいつもくるこゑ明易し
    咲きそめの枝は臂めき百日紅
    古魞をゆさぶり来る土用浪
     明石2句
    戻り梅雨べらの赤青糶られゐし
    石擦って逃げゆく蛸の大頭


      同人作品評(7月号)     中村 雅樹

三十間長屋のあたり蝦蟇の声   太平 栄子
 この句は「三十間長屋」で面白くなりました。言うまでもなく、「三十間長屋」とは金沢城にある古い建物で、重要文化財と聞いています。あたかもここの主であるかのように、蝦蟇が鳴いているのです。


      紅 頬 集  秀句佳句    田島 和生 主宰
露天湯に平和談義や合歓の花   亀田 次郎
 最近の精児情勢は不穏で、目が離せない。久しぶりに露天湯に浸かったが、やはり知人とは平和談義である。露天湯の空に咲く美しい合歓の花とは対照的に物騒な話になる。落ち着かない気分をよく描いている。

杖持たぬ日もある夫や雲の峰   宮崎 惠美 作者の夫は、同人の宮崎明倫氏。体を壊し、外出は大体、杖に頼っている。ただ、お天気で体調のいい時は、杖なしでも歩ける。明るい未来が開けてくるように、雲の峰を向こうに夫婦の足取りも軽い。明るく、いい作品である。


以上、俳誌「雉」9月号より抜粋いたしました。