兼題:「緑雨」
青木 和枝 選
◎山藤の羽衣のごと懸かりけり 吉田 泰子 紫陽花やどこへも行かぬ母とゐて 野崎 郁雄
日中飛ぶヘリコプターや大青嶺 小林 れい子
地下鉄を出でビル街の緑雨かな 大上 章子
用水の音軽やかや田植済む 生田 章子
三代の墓を濡らせる緑雨かな 藤井 薫
吉田 泰子 選
◎路地庭の茶筌地蔵へ緑雨かな 藤井 薫
梓川烟らせてゐる緑雨かな 山岸 昭子
地下鉄を出でビル街の緑雨かな 大上 章子
券売機に長き行列風薫る 林 喜美子
つくばひにリズムを刻む緑雨かな 小林 れい子
早苗みな北へ傾げり大南風 生田 章子
海刻々色変はりゆく蜃気楼 山岸 昭子
髪かたく結ひたる女神輿かな 青木 和枝
ビーナス像緑雨に座して胸ゆたか
研ぎたての鎌の匂へり柿若葉 吉田 泰子
山藤の羽衣のごと懸かりけり
満天星の生垣隔て立ち話 小室 登美子
告げられて退院の日の柏餅
池の面の葉桜の影そよぎをり 小林 亮文
押し寄せる万の卯波に身を引けり
千坪の庄屋の跡や花菖蒲 小林 れい子
一服の農夫草笛吹きてをり
卯波立つ浜に釣糸垂れてをり 佐瀬 元子
繰り返しバットを振る子夕薄暑
浮足で渡る吊橋夏燕 度山 紀子
初ものの蕨一笊隣より
梓川烟らせてゐる緑雨かな 山岸 昭子
麦の穂に止まり雀の揺れやまず
旅立ちの中学生に緑雨かな 大上 章子
記念樹の椿若葉の耀けり
産土神明るうしたり麦の秋 生田 章子
早苗みな北へ傾げり大南風
挨拶の大きな返事風光る 野崎 郁雄
紫陽花やどこへも行かぬ母とゐて
風止みて低くゆるりと黒揚羽 林 喜美子
老鶯のよく啼く朝山光る
三代の墓を濡らせる緑雨かな 藤井 薫
路地庭の茶筌地蔵へ緑雨かな
梅園や緑雨したたるつぶらな実 谷 光恵
柿若葉背の連山隠しをり
新緑や顔舐め合うて母子牛 福江 ちえり
自動ドア走り抜けたる百足かな
次回、6月26日(日)午後1時〜
富山県教育記念会館 5F
兼題:「梅雨」に関すること
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