「雉」北陸地区のブログ

「雉」句会の活動を公開しています

俳誌「雉」5月号から

主宰俳句
     蕗の花       田島 和生
  球根に濡れ土を寄せ入院す
  永き日の光ふくらみ点滴す
  春雷や胸を輪切にして撮らる
  番号で診らるる胸へ初音かな
  山笑ふ患者の胸にバーコード
  春はあけぼの配膳車匂ひくる
  病みぬれば遠よく見ゆる蕗の花

    小室登美子さんを悼む
  倶利伽羅の花咲かざるに逝き給ふ

     同人作品評(3月号)   平田 冬か

門の無き掛込寺や返り花   石黒 哲夫 駆込寺は別名縁切寺ともいわれる。夫の暴力などに耐えきれず妻から離縁を望んでもできない江戸時代に、この寺に逃げ込めば保護して貰える幕府公認の寺。助けを求める女性を分け隔てなく受け入れたことが「門の無き」から伝わる。季語の「返り花」は駆け込んだ女性の明るい未来を暗示している。


     紅頬集 秀句佳句   田島 和生 主宰
寒鮒や一夜に濁る盥水   後藤 かつら

以上、俳誌「雉」5月号より抜粋いたしました。